部分転調
1小節や2拍分など、一時的に転調して「おっ!」と思わせるテク。ジャズ・フュージョン必須テクです。同主調(英語で:サブドミナント・マイナー)転調とツーファイブ転調の2種類ご紹介。
同主調(サブドミナント・マイナー)転調
キーがCメジャーだったらCマイナーのダイアトニックからコードを借りてくる方法です。一時的にマイナーキーに転調します。(ちなみにCメジャーダイアトニックがCメジャースケールの音だけを使って作られた法則なら、CマイナーダイアトニックはCマイナースケールの音だけを使って作られます。)ついでにマイナーダイアトニックも覚えてしまいましょう。
同主調(サブドミナント・マイナー)転調を使った進行例
ツーファイブ転調
ジャズのお決まりの進行でIIm7=>V7=>I△7(メジャー版)とIIm7b5=>V7=>Im7(マイナー版)というものがあり、ツーファイブワンと呼ばれています。
このツーファイブワンは「超ナチュラルにキまる」進行のため、Iがダイアトニック上の音であればどこでも使えるという代物です。具体例を見ていきましょう。
ツーファイブ転調(メジャー版)
ツーファイブ転調(マイナー版)
ジャズ・フュージョンはこのような部分転調を数珠つなぎ的に列挙し、ドンドン転調しまくります。まずはポップスやロックのような、ダイアトニックがベースとなる、理論が比較的簡単なジャンルに部分的に盛り込んで実践してみてはいかがでしょうか?
補足:部分転調した場合、スケールはどうなるの?
同主調(サブドミナント・マイナー)転調なら、マイナースケール(CメジャーキーからCマイナーキーに同主調転調してたらCマイナースケール)で弾けばOKです。単純です。
ツーファイブ転調の場合は慣れが必要です。ツーファイブ転調している箇所の「I」に該当するスケールを弾きます。例えば上の譜例『ツーファイブ転調(メジャー版)』では2小節目は「5=>1の1がFメジャー」なので、Fメジャースケールで弾きます。
『ツーファイブ転調(マイナー版)』はちょっと特殊です。非常にややこしいです。
当ページの最上部にご紹介した「マイナー版ダイアトニック」を見るとVはセブンスではなく、Vm7になってます。では、『ツーファイブ転調(マイナー版)』の「V7」はどこからやってきたのでしょう?
実はマイナーキーには、マイナースケールの他にもう2つスケールが存在します。ややこしいですね。「ハーモニックマイナースケール」と「メロディックマイナースケール」であり、こいつらがV7を持つスケールに値します。よって、『ツーファイブ転調(マイナー版)』を使用した箇所はこの「ハーモニックマイナースケール」か「メロディックマイナースケール」のどちらか一方を使う必要があります。
Aハーモニックマイナースケール
Aメロディックマイナースケール
※普段マイナースケールと言っているスケールを、上記2つと分類するために「ナチュラルマイナースケール」と呼ぶことがあります。豆知識。