Roland「VT-12」を一年間使ってある程度音痴が直ってきた話

ボーカリスト専用チューナーというインパクトのあるプロダクト「VT-12」を1年使ってみましたのでレビューしたいと思います。製品情報は以下の公式サイトを参照ください。

VT-12の音程検出機能について

ギタリスト・ベーシストには馴染みのあるチューナーですが、こちらはボーカル向けに作られたチューナーです。発声した音を瞬時に解析し、音階を表示してくれます。また、どの程度正確な音程かどうか、中央のメーターに表示されます。

この音程検出機能ですが、相当シビアにできていてほんとうにちょっとでも外れるとシャープだのフラットだのとついてしまいます。この点は「チューナー」という特性上当たり前ですが、最初は「自分ってこんなに音痴だったんだ・・・」と必要以上に凹みます。

あまりにも音程が合わないことでモチベーションを下げてしまわないように注意です。先生についてボイトレしていました!という方以外は「トレーニング前の状態は音が外れて当たり前」くらいに気軽に考えたほうがいいと思います。

トレーニング曲について

VT-12BKにはウォーミングアップ曲とエクササイズ曲が入っています。VT-12EKの場合は歌謡曲が収録されているそうですが、私はBKのほうを買ったのでそちらは分かりません。

ウォーミングアップ曲はボイトレ以外にも、歌の収録前にもやってます。各1分~2分程度の長さで6曲分ですので、まさにウォーミングアップとして最適な尺だなと思います。これをやらずに歌うのと、やってから歌うのとでは身体に掛かる負荷も違うように思えます。

おそらくスポーツと同じで、準備運動もせずにいきなりフルパワーで動こうとしても体を上手く使えず、思い通りの結果が得られないんだと思います。歌う、という行為も全身を使う行為ですからフィジカルな側面が強いんだろうなと思います。

エクササイズ曲も一通りやりました。こちらは教則本のようなものが同梱されていて、その本の内容とリンクしています。

とはいえ、この手の専門的な指導は先生がいないと活用が難しい側面があります。「これでいいの?」「あってる?」「このエクササイズの最終ゴールはどこ?どのくらいやれば合格なの?」という点が自己判断になってしまいます。変に素人判断でエクササイズを積み重ねるのはある種危険も伴うかなと。間違ったままエクササイズを続けて間違いを積み上げると軌道修正が難しくなる、というわけです。それを言ってしまうと元も子もありませんが、我流で暗中模索するのと解釈を間違えたまま積み上げるのでは後者のほうが圧倒的に不利だと判断しました。何かにすがると盲目的になるからです。

また、このプロダクトは「チューナー」であり、ボイストレーナーではないと思った点も影響しています。この製品は発声を解析して良し悪しを出すような機能はなく、あくまで「音程が合っているかどうか」を視覚化するだけです。そもそもの正しい発声に関しては別のロジックで補う必要があります。エクササイズの内容を見ると音程ももちろんカバーしていますが、「発声」の領域も多く含んでいます。このVT-12だけで発声練習を進めるのはどうか、と判断しました。

というわけで私はエクササイズに関してはある程度のところで辞めました。ウォーミングアップ機能と普段の歌の練習のときにチューナーとして使うことを主用途としました。

発声に関しては教室に通って先生にならうか、もしくは「録音した音声を送ると発声の良し悪しとトレーニング方法を教えてくれる」ような通信教育があるのでそちらを受けたほうが良いかと思います。私はココナラ、というサイトで発声を見てもらったことがあります。ココナラで「ボイトレ」と検索すると先生が一杯見つかります(笑)余談が長くなってしまいましたがVT-12のレビューを続けます。

メトロノームと録音機能

一番使った機能がメトロノーム+録音機能です。これはメトロノームを再生して歌ったあと、VT-12の「Review」というボタンをおすと自分の歌声をリピートして聞けます。その際、チューナーも連動して動くため「自分の声を客観的に聴きつつ、どの程度音を外したか」自己採点ができます。VT-12は簡単に録音再生ができるため、普段の歌の練習が録音ありきになります。

すると自分の歌を今まで以上に客観的に捉えられるようになります。すると何が足りないのかが見えやすくなります。

また、録音した自分の声に慣れるという心理的にポジティブな面もでてきます。「自分が普段聞いている声と録音した声が違う」という人がいます。私もそうでしたが、頻繁に録音再生したことで歌ったりしゃべったりしているときに「今、相手からこういう風にきこえているんだろうな」というあたりがつけられるようになります。

すると歌において「狙った歌い方」がやりやすくなります。今までは自分の声というものが良く分からない状態で操っていたと思います。何度も自分の声を客観的に聴くことで「自分の声のコントロール方法」がなんとなく掴めて来る日があるとき突然きます。

今まで如何に自分の声を理解せずに歌っていたか、思い知りました。

電池で十分

コンセントアダプターなんかもオプションとして売りに出されていますが、個人的には電池で十分だと思っています。というのもヒトカラなどで外に持ち出して使うことが前提としてあるので、首尾よくコンセントが借りられるか分からないからです。

また電池の持ちを悪くなく、電源ONにしっぱなしにでもしない限りは長持ちします。

練習方法

先にこれをかけばよかった・・・1回あたり1時間~1時間半、週2回の練習を続けました。ざっと練習内容を書くと

  • 1ヶ月目:ウォーミングアップ曲をしてからエクササイズ曲。1ヶ月でだいたい2周する
  • 2ヶ月目~6ヶ月目:自分で課題曲を決めてVT-12の録音機能を使いながら練習(1ヶ月ごとに曲は変える)
  • 7ヶ月目~8ヶ月目:課題曲をDAWで録音。録音するときはVT-12をONにしてみながら歌う
  • 9ヶ月目~:自分のオリジナル曲をVT-12で練習し、最終的にはDAWで録音

こんな感じです。まず1ヶ月はVT-12の収録曲を消化しました。1ヶ月やってみて「教則の発声部分が気になる」という実感からウォーミングアップ曲だけを使うようにしました。次に自分の音域に合う曲をチョイスしてVT-12を使いながら練習しました。曲のキーを予め調べておいて、ちゃんとキーどおりに歌えているかじっくり検証しながら歌いました。この期間は結構楽しく練習できました。1ヵ月ごとに曲を変えることで飽きないように工夫しながらやりました。

7,8ヶ月目はその課題曲をDAWで録音することで更に一歩踏み込んで自分の歌を分析。まぁこれが本当に苦痛でした。Auto-tuneのグラフィックモードで音程をグラフ化して自分の音程の甘さを理解する作業です。歌い始めにしゃくりあげながら音を探すクセとか(マシになりましたが今でも完全には直ってない)、音階が低高低と続いたときに後ろの低の音が半音高くなるなど。VT-12だけでは気づけなかった音程的なクセを把握します。

9ヶ月目はそのクセを把握した上で、自分の新曲を練習します。最終的にはYoutubeで公開するトラックを使いました。3ヶ月くらい、クセの部分を意識して練習。総テイク数200越えた辺りで1年が過ぎました。

練習結果

成果としては色々ありますが、

  • 語尾が半音下がる癖がある程度マシになった
  • ↑をごまかすために何が何でもビブラートかけてたのがマシになった
  • 歌いだしをしゃくりあげるときとそうじゃないときをちょっとだけコントロールしはじめた
  • Auto-tuneで補正する時間が減った(コレが一番大きい)

Auto-tuneでバリバリに補正かけたりごまかしてた時間がぐっと減りました(笑)お恥ずかしながら、まだまだ本来は人様に手放しでお聞かせできるレベルではないものの不毛な補正作業が楽になった点は嬉しい。まぁ録音までに3ヶ月も練習したらVT-12なしでもできたかもしれませんが、、、とはいえ音程に関してはVT-12があるから安心して練習に打ち込める点は大きかったように思えます。

まとめ

音痴に悩んでいる方には手放しでオススメできます。ただ、価格が結構高いのでお財布と相談ですね。また、アプリには「Vocal Pitch Monitor」というものがあり、シェアウェアですがこれでも音程の可視化はできます。VT-12には練習曲やハードウェア依存のシンプルなUIなど長所もあるので悩みどころです。

私自身、VT-12もVocal Pitch Monitorも持っています。Vocal Pitch MonitorはAuto-tuneのグラフィックモードっぽく表示ができるのでしゃくりあげの検出もできる点が嬉しいですね。用途によって使い分けもありだなと思います。

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