GsnapやKeroVeeと肩を並べる、無料のボーカルピッチ補正プラグイン「MAutoPitch」
どんなプラグイン?
ざっとみたところ、Gsnapのようなボーカルのピッチを自動補正する用途に使えるようです。非常に機能が豊富で、
- UIはGPUを使って高速に動作
- 自動で音量やGainを調整してくれるAGC機能、limiterによるピーク越え阻止機能搭載
- WindowsもMacも、32bitも64bitもオッケー
- ドングルやInternetアクセスを必要とするアクティベーション不要
つまり、「高速」「音量気にせずピッチ補正に専念できるような気配り」「winもmacもいける」「フリー」なプラグインと言うことですね分かります。早速使ってみます!
ダウンロードしてみる
どうやら単体での提供はしていない様子。MFreeEffectsBundleという無料のプラグインセットに含まれているらしいのでこれをダウンロードします。
ダウンロードをクリック
自分のOSに合ったものをダウンロードします。私はSonar32bitを使っているので32bit版をゲットしました。
インストール作業
結構しっかりしたインストーラーみたいです。
このあと、ライセンスに承諾してくれ画面、VST・VST3・AAXの3つの形式に対応してるけどどれインストールする?と聞かれる画面が出てきます。私はVSTのみ選択しました。
インストール先の指定。本体とVSTフォルダを選べます。本体はそのままで良いと思いますが、VSTはDAWが認識できるVSTフォルダにした方がスムーズかと思います。
これでインストールは完了しました。次はDAWを立ち上げて、VSTプラグインを使ってみます。
起動してみる
Sonarであれば、オーディオトラック上で右クリックし、「オーディオFX>MeldaProductions>Pitch Shift(MAutoPitch)」でOK。初回起動、以下のようなアラートが・・・
匿名でレポート送ってもいいですか?とのこと。Yesをクリックするとレポート送信を許可、Noなら送信しません。ここらへんはご自分のポリシーに則って選択してください。どちらを選んでもプラグインの機能に差はありませんので。
使い方
わーいっぱい機能があって大変。と思いきやシンプルで分かりやすい。
重要なパラメータは(3)と(5)ですね。この2つ抑えとけばひとまず使えます。
1) プリセットから選択します。ファクトリープリセットの他、ユーザプリセットも作成可能。プリセットのエクスポートやインポートもできます。これはいいですね。楽曲毎にプリセットを作っておいて、マシンをまたぐ作業もエクスポート、インポートを使えば簡単に設定の同期がとれます。(ただし、無料版はファクトリープリセットの使用しかできませんでした。ユーザプリセット関連の機能はおあずけ。)男声を女声に変換、そのまた逆、なんてプリセットも用意されてて面白い!
2) バイパス。このプラグインの有効無効を切り替えます。
3) Automatic Tune。重要パラメータ。どのくらいの強さで補正をするか、パラメータを設定します。Depthは強度で、どのくらい音程がぶれたら補正をかけるか。SPEEDは補正のかけ具合をピーキーにするか、なめらかにするかを変えます。ピーキーにするとケロケロボイスになります。Detuneは「敢えて少しだけ音程をずらす」パラメータです。正直、私は使いませんので0のままです(笑
4) エフェクトをかけます。正直リバーブとかは別のVST使いたいので私はあまりいじりませんが・・・元音(DRY)とエフェクト後の音(WET)の混ざり具合を変更します。基本はWET100、DRY0で使ってピッチ補正後の音だけならします。WidthはPAN?コーラス?どういう処理か分かりませんが声に広がりを持たせるパラメータのようです。KEEP FORMANTSやFORMANT SHIFTをいじると声質ががらっと変わります。エイリアンみたいなドス低い声質から、オカマさんみたいな声まで色々いじれますが、自分の声がこんなんなるなんて・・・と泣きたくなること必至です。
5) スケール(調)選択。重要パラメータ。例えばD 押して MAJOR を押せば「D MAJOR」、のように補正元となる曲のスケールをここで割り当てます。
6) メーターです。ギターのチューナーみたいなもので、何の音がどのくらいずれているか、はたまたどの程度補正できたのか、視覚的に表現してくれます。
7) ボリューム表示切り替え。ここを押すとボリュームメーターが表示非表示切り替わります。後述のAGCやLimiterのかかりぐあいを見るときに使います
8) PANおよびステレオ/モノラル切り替えです。よく分からないならデフォルトのままL+Rで良いかと思います
9) AGC:自動でボリュームを調整してくれます。なんか声が大きくなったり小さくなったりするなーという音源をいじっているときはコレをONにしておくといいかと思います。有効時はこのボタンが茶色に反転します。
Limiter:peak越えを防ぐセーフティ棒の役割。有効時はこのボタンが茶色に反転します。<
10) パターン選択です。A~Hそれぞれ別のパラメータセットを作っておき、再生途中で切り替えができます。たとえば同主調転調などの部分転調がある曲で、AにA minor縛りの設定、 BにA major縛りの設定を予め作っておき、再生時にAとBを切り替えると、調にあった補正が可能になります。まぁぶっちゃけトラックダウン時は調別にボーカルトラック分けちゃう方が効率よかったりします(トラック1はAminorボーカル、トラック2はAmajorボーカル、みたいな。。)
11) 補正をグラフィカルにしたもの、のようなイメージ。MIDIコントローラと合わせるとトリッキーでダイナミックでランダマイズなボーカルトラックが作れそうです
12) コピペ、10のA~Hの設定をコピペするときに使います。A選択中に左側のコピーボタンを押し、Bに切り替え、右のペーストボタンを押す、みたいに使います
13)MIDIコントローラにパラメータチェンジを割り当てます。GsnapやAutoTuneのようにMIDIファイルを読み込ませてそれを元に補正するという素敵機能かなーと思ったら違いました。単純に、MIDI機器でこのプラグインのパラメータを変更できる(コントロールチェンジ、CC割り当て)設定に使うようです。
使い方動画をみてみる
実際にボーカルトラックに割り当てて使ってる動画。英語ですが、どんなことができるかぱっと見想像できるかなと。
総括
書くこといっぱいありましたが、要は
- Scale選ぶ
- Automatic Tuneで効きを調整
という、GsnapだろうがAutoTuneだろうが共通の方法は変わりませんね。
まぁAutoTuneやMelodyne、V-Vocalのような、1小節毎に音程をグラフ化し、鉛筆で音程を描くように補正するグラフィックモードはないようです。もうこのレベルになると、Freeでは無理なのかも?とはいえ、大抵の人はオートモードで十分ですよね。また、Windowsの方限定になってしまいますが、MIDIファイルベースのピッチ補正はやはりGsnapを使うのがよさそうです。
ちなみに今回導入したほかのプラグインについて、長くなっちゃうので個々の説明は省きますが、コンプレッサー、リミッター、EQ、アナライザー等がセットになってます。ここらへんは使いやすいですね。このバンドルと、リバーブとか空間系を別途入手したらもうこれだけで十分ミックスできますね。総合的におすすめなパッケージです。
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