カッティングで聴き解くBaker Brothers「Transition Transmission」

聴き解くとかたいそうな事言いましたが、カッティング視点でのレビューです。カッティング練習に活かしていただけたらなと思います。

Dan Baker(Gt,Organ)とRich Baker(Drums)のBaker兄弟と、Chris Pedley(Gt,Bass)の3人が織りなすファンキーソングを堪能してください。

当CDをカッティングギター視点で

UKジャズ・ファンクバンド、Baker Brothersの3枚目のアルバム「Transition Transmission」。前作と比べてボーカル曲が多く、シンセサイザーの電子音を織り交ぜつつ、従来のカッティングギター&ブラスセクションの融合が気持ち良い。かなり挑戦的な内容になってます。良い感じで脱皮したんだろうなーと思わされる逸品に仕上がってます。

以下、曲の詳解です。赤字は「カッティングに活かせそうなTips」になります。

No1:Why Oh Why

いきなり電子音がスピーカーの奥から手前に向けてぶっ飛んできます。前作を知ってる人なら「え、Baker Brothersだよね?」と思うかもしれません。カッティングは全編通して「休符を弾く」感じのパターン。1小節中のスネアとスネアの間を上手く縫うように「チャッチャ」と入ってます。上手いですね。楽曲中の「中音域の譲り合い」といったところでしょうか。私見ですが、2.5kHz辺りにギターとスネアはポイントがあると思うんですが、それらが被らないように気をつけてる感じがします。

No2:Chance And Fly

もう大好き。こういうの。いきなりブラスセクションから始まる、超絶ノリのいいファンキーナンバー。間奏はギターとベースのユニゾン。どことなくドリフターズを思い出しちゃったのは僕だけじゃないはず。ファンク・ソウル全盛期時代を彷彿とさせる。

No3:Aargh, Aargh-Aargh

いきなりおっさんの死に際の声みたいなのから始まってびっくりですよ。オルガンの連弾が良い感じですね。カッティングらしいギターが出てこないんで詳細は省きます。

No4:Soul Shine

しっとりとしたトーンのカッティングが印象的。単音弾きとコードカッティングの切り替えが難しい曲ですね。スライド主体で色っぽく単音弾いた後は、どうしても「さあカッティングだぞ!」と意気込んで無駄な力が入って音が悪くなりがちです。「意識して右手を振り下ろす高さを抑える」など、曲調にあった練習が必要だと思います。

あと、しっとりカッティングのコツは2つ。「音を暴れさせない」「ブラッシングミュートは高低満遍なく」だと思います。具体的には「音を短く切りすぎず」「高音に向かって加速させるのでなく、均一な速度と強さでブラッシングする」というニュアンスです。

No5:Would I Be Wrong

これもしっとりカッティングですね。同じようなパターンが全編通じて後ろでなってます。気分はパーカッション奏者。前に出すぎないように前述のコツ2つを守りつつ、単調にならないようその中でもダイナミクスを付けると良いですね。

No6:If You Want Me To Stay

カッティングが・・ない!?NEXT!!

No7:So Said, So Done

ディレイの効いたカッティングが印象的です。この手の空間系エフェクト(コーラス・ディレイ・リバーブなど、空間の広さや奥行きを演出するのに使うエフェクト群のこと)を使ったカッティングの難しいところは「弾いた後も影響が残ること」ですね。特にこの曲のようなロングディレイの場合、ブラスセクションにカッティングの音が被りっぱなしですから。ミキシングの際、「どの程度の間隔で」「どのくらい音量を減衰させるのか」考えながらエフェクトを使わないと音がカオスになります。

この曲は「ディレイ音の高音域をかなり切ってる」ため、ブラスとギターがあまりぶつかってないですね。

No8:B Bro Super 8

フュージョンチック。カッティングっていうか単音弾きですね。バックで歪んだカッティングが聞こえます。特にコメントは見つからない。。

No9:Beat Feat

ブラスに譲るカッティングと、ギターを主調するカッティングの使い分けが上手い、と思います。ブラスがなったらしっとり系で引っ込み、ブラスの合間はカッティングで埋める。そんな感じ。

No10:Kick Back

リズムが複雑な感じのギター。伴奏を担いつつリズム楽器としての役割も担う。ギターで引っ張る曲ですね。ベースのラインを踏襲しつつ弾くのって、結構難しいですね。

No11:It's Not Me

かなりブラスに譲った感があります。No5:Would I Be Wrongと同様、「俺はパーカッションだ」という意識が必要ですね。基本的にギターってブラスと被りやすいんですよね。。。ジャズなんかだと「サックスやペットと音域被るからギターはちょっと・・・」と言われることもしばしばありましたなぁ(しみじみ

No12:Roll Up Your Sleaze

この曲も他の楽器を隙間を埋めるようにコードカッティングが入ってますね。カッティングって、曲の中でどう使えばいいのかわかんない、という方の参考になればと思います。

No13:Transition Transmission

8:20にも及ぶ大作です。まるでフリーセッションのような趣。冒頭1分ほどはスライドカッティングのお手本的フレーズ。スライドの「直後の音」を強調することで「今この小説はこのコードなんですよー!」と主調してコード感を強調する弾き方が素敵。

No14:Home Life

冒頭、ディレイの掛かった単音ミュートカッティングがこっそり入ってますね。この単音ミュートカッティングですが、右手ブリッジを軽くミュートしつつ、ピックでギターボディを「ドアをこんこんノックする」感じで弾くのがコツだったりします。するとちょうど良いミュート具合になるかと思います。

一枚のアルバムにこれだけのTipsが盛り込まれていて大変参考になる作品でした。もし興味のある方、いらっしゃいましたらこれを機会にBaker BrothersのCDをゲットしてみてはいかがでしょう?HMVのサイトで試聴ができるそうです。

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